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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2023年度 第59回 受賞作品

日本農業新聞賞

今日も百点

私立  麻生学園小学校4年堂園 海里

「ガタン。ガタン。プシュー。」
 四月から電車でじゅくに通い始めた。一人で電車にのるのは、ぼくにとっては大ぼう険だ。ICカードをかざす。ホームのかくにん。時間を見る。初めは不安だったが、今はだいぶなれてきた。しかし、通い始めたばかりのじゅくで、うまくいかないことも多い。
「あんな問題解けるわけない」
「もっと勉強しとけばよかった~。」
 窓に映る自分と目が合う。おこったような、泣きそうな顔。みんなの前では無理に明るくしていたけれど、一人になると自分に腹が立つ。
 ふと、周りを見る。夜なのにたくさんの人。ねむっている人。けいたいをずっと見ている人。表情はいろいろだ。さっきまでの自分を思い出して、はっと気づいた。
「みんな表情と心の中は別かもしれない。落ちこんでいるのはぼくだけじゃないのかも。」
 窓の外を見ながら考えこんでいたら、
「ぼく?ここ空いてるよ。どうぞ。」
と見知らぬ人に席をすすめられた。人のそんざいも優しさもいつも以上にうれしい。あったかい。なみだが出そうになりながら、頭を下げてすわらせてもらう。すると、小さなころから両親に言われてきた言葉が頭にうかんだ。
「良い日もあれば、悪い日もある。一日を楽しんでちょう戦して帰ってくるだけで百点!」
 そうだ。今日のぼくは百点だ。むずかしい問題にちょう戦したんだから。今日できなかったことは明日できるようになろう。電車に乗っているみんなも毎日を生きている。ぼくだって負けるもんか。
 電車に乗ってじゅくへ行く。たったそれだけのことだけど、今まで見えなかったことが見えてきた。「戦いにいどむ」と書いて、ちょう戦だ。てきは自分の弱い心。どうせ戦うなら楽しくやろう。来週が待ち遠しくなった。
 大ぼう険はいそがしいが、面白い。

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