2022年度 第58回 受賞作品
RKB毎日放送賞
やさしい社会を目指して
福岡市立 香椎小学校6年野田 樹
ぼくには、二つ下に妹がいる。妹には自閉症と知的障がいがあって、特別支援学校に通っている。知的障がいとは、複雑な事や話が不得意で、人よりもたくさん苦手な事がある事だ。また、自閉症とは、相手の考えていることを読み取ったり、自分の考えを伝えたりすることが苦手で、特定の事に興味を持ったり、おびえたりすることがある。
小さい頃から、泣き虫な妹だと思っていた。ぼくの幼ち園の参観日の時もずっとお母さんにだきついて泣いていた。家では、ゲームソフトをなくされたり、おもちゃをこわされたり、折り紙を破られたりと大暴れしていた。また、自閉症があるから、知っている場所ばかり行きたがり、新しいお店や旅行先などでパニックになる。人混みが怖いみたいで、天神や博多などの人が多い所では耳をふさいだりすわりこんだりしてしまう。お出かけはいつも本当に大変だった。
でも、病院の先生やりょう育センターの先生などのおかげで妹はどんどん成長した。やるべきことをわかりやすくした環境、わかりやすいやり取りの方法などを学んで妹もたくさんがんばっていた。だから、人見知りや場所見知りが少しずつ落ち着いて、出かけられる場所が増えてきた。妹がプールや温泉や川が大好きになったおかげで、ぼくもたくさん行くことができて、ラッキーな所もあった。
また、言葉は話せないけれど、ひらがなやカタカナが読めるようになったので、やり取りがすごくスムーズになった。今までわかりにくかった妹の気持ちが少しずつこちらに伝わってきて、ぼくたちの気持ちや考えも妹に伝わるようになった。コミュニケーションが取れるようになると妹はさらにかわいく見えるし、一緒にいると安心できる存在だ。本当は、一緒に小学校に通いたいと思っている。
妹に障がいがあったからぼくは小さい頃から障がいのある人の施設や病院によく行っていた。その中でぼくが気づかないような光や音、雰囲気にびん感だったり、刺激を受けたりしている人がたくさんいることを知った。また、苦手なことが多い人でも、とても絵が上手だったり、ピアノが上手だったり、細かい作業が得意だったりすることを知った。また、障がいのある人が生活しやすいようにサポートをしている人がたくさんいることを知った。
障がいは目に見える物もあるし、見えない物もある。どちらも大変だし、本人も周りの人も大変なことが多い。それでものびのびと生きていけるよう、周りの人のサポートや理解が必要だと思う。障がいのある人に対してばかにしたり、無視したり、いじめたりするのではなく、何か手伝えることはないかと考えられるような人が増えてほしいと思うし、住みやすい環境になってほしいと思う。まずは自分にできる事、つまり妹のことをよく知り、これからも仲良く暮らしていきたい。妹の笑顔がいつも見ることのできるようなやさしい社会を作っていきたい。